
最終更新日:2026年11月7日
【2026年11月7日更新】NAND不足は2030年まで続くのか――Kearney新予測と調達への影響
2026年11月6日、A.T. カーニーはNANDフラッシュの供給制約を分析した論考「深刻化するストレージ不足」を公表しました。2030年までの逼迫は、メーカーが確定した供給停止・納期ではなく、Kearney PERLabの標準シナリオに基づく予測です。対象は特に企業向けQLC・TLC NANDと先端積層世代であり、一般消費者用SSDやすべてのNAND型番が2030年まで欠品するという意味ではありません。
今回新たに示された市場予測(事実と区別)
- 企業向けQLC・TLC:Kearneyの標準シナリオでは、対象セグメントの供給逼迫が2030年まで続く可能性を提示。
- 2026~2029年の需要・供給:NANDウエハー需要の年平均増加率を8~12%、供給増加率を2~4%と推計。いずれも同社モデルの予測であり、メーカーの確定生産数量ではありません。
- 産業・車載向け:高信頼性TLC・pSLCについて、納期が20週間を超える事例があると同社は指摘。全製品・全メーカー共通のリードタイムではありません。
- 供給緩和の要因:中国メーカーの増産、ニアラインHDD供給の回復、NAND製造技術の進歩などによって、需給見通しは変わり得ます。一方、HBF(高帯域フラッシュ)の普及は追加需要の要因となる可能性があります。
見通しが一致していない点:TrendForceとの比較
TrendForceが2026年7月30日に示した見通しでは、NAND市場全体は2027年後半に供給が緩和する可能性があるとしています。Kearneyの11月6日の分析は、企業向けQLC・TLCおよび先端積層品種に絞った長期逼迫シナリオです。両者は対象市場、需要前提、生産能力の増加想定が異なるため、「2030年まで全NANDが不足する」と一括して判断するべきではありません。両社の予測の優劣や実現可能性は現時点で確定していません。
国内の購買・資材・SCM担当者が確認すべきこと
- 使用中のNAND・SSD・eMMC・UFSの完全型番(MPN)、容量、TLC/QLC/pSLCの区分、産業・車載認定の有無をBOM単位で確認する。
- 必要数量を直近3~6か月だけでなく、2027年以降の量産予定まで整理し、メーカー・正規代理店に確保数量と実際の納期を照会する。
- 代替案について、書き込み耐久性、データ保持、温度条件、コントローラ/ファームウェア互換性、顧客承認の必要性を検証する。
- 海外調達では調達経路・ロット・トレーサビリティ・品質保証を確認し、市場の長期予測だけを根拠とした過剰在庫化を避ける。
AI Componentsの実務コメント
複数年の市場予測だけで前倒し大量購入を決めるのではなく、まずは生産停止時の損失が大きく、代替認定が難しい型番から確保優先順位を付けてください。AICでは正規代理店ルートを中心に、必要に応じた海外調達候補と代替品の検討を案件ごとに支援します。個別の在庫・価格・納期・割当は現時点では保証できません。
調達相談時に必要な情報:メーカー名、完全型番、数量、希望納期、ターゲット価格、代替可否(および必要な耐久・認定条件)。AI Componentsへのお問い合わせからお知らせください。
参照した一次情報・対照資料
AIサーバーやAIエージェント向けのストレージ需要拡大により、Enterprise SSD(eSSD)とNAND Flashの調達環境はさらに重要な確認局面に入っています。2026年10月5日、TrendForceはDRAMのリードタイムを20週水準(需給均衡時の目安8週)とし、DRAM不足が一部NANDサプライヤーのEnterprise SSD供給能力にも影響していると報告しました。従来からeSSD自体も16週水準の長納期が確認されており、9月24日の市場見通しでは2026年第4四半期のEnterprise SSD契約価格が前四半期比23〜28%上昇、NAND Flash全体でも15〜20%上昇すると予測されています。これらは市場調査上のリードタイム・価格予測であり、全メーカー・全型番の確定値上げや納期を意味しません。実際の在庫・価格・納期は完全型番ごとの確認が必要です。
2026年10月5日更新:DRAM逼迫がEnterprise SSD供給にも波及
TrendForceの10月5日付Supply Chain Radarでは、DRAMは20週水準の「Very Tight」とされ、DRAM不足により一部NANDサプライヤーがEnterprise SSDソリューションを十分に供給しにくくなっていると報告されています。これは、SSD調達をNAND単体の需給だけで判断できない局面に入っていることを示します。
また同レポートでは、HDDのリードタイムが50週水準で、緩和は2027年後半より前には見込みにくいとの見方も示されています。したがって、AI/サーバー案件で「SSDが厳しいならHDDへ切り替える」といった単純な代替策が取りにくいケースがあります。用途・容量・性能要件ごとにSSD、NAND、DRAM、HDDを横断して供給確認することが重要です。
注意:20週・50週という数値はTrendForceの市場調査値であり、個別メーカーや全型番の確定納期ではありません。実際の納期は完全型番、容量、フォームファクター、顧客認定、契約条件によって異なります。
2026年10月2日更新:MicronのEnterprise SSD出荷とNAND需給
Micronは2026年9月30日のFiscal Q4 2026資料で、データセンターSSD売上高が四半期で約100億米ドルとなり、前年同期比10倍超、同社NAND売上高の3分の2超を占めたと説明しました。
Micron 7600 PCIe Gen5 SSDとMicron 9650 PCIe Gen6 SSDはKV-cache用途で主要顧客向けに出荷中で、Micron 6600 ION SSDも第4四半期に量産出荷が拡大しています。
Micronは2027年と2028年もNAND業界が供給制約状態にあるとの見通しを示しています。Fiscal Q4 2026のNAND価格は前四半期比で約30%上昇しましたが、これはMicronの実績であり、全メーカー・全型番に同率で適用されるものではありません。
購買担当者の確認項目
- 完全型番、容量、フォームファクター、数量、希望納期
- PCIe世代、TLC/QLC、DWPD、セキュリティ仕様、代替可否
- 供給割当、確保数量、見積有効期限、NCNR条件
- 海外在庫の場合はDate Code、ロット、トレーサビリティ、保管状態
AI Componentsからの実務コメント
AI向けEnterprise SSD需要の強さがMicronの実際の売上構成と出荷製品に表れています。一方、個別製品の在庫・価格・納期は確認できていないため断定しません。調達時は型番・数量・希望納期・ターゲット価格・代替可否を揃えて個別確認することを推奨します。
確認できた事実
TrendForceの2026年9月21日時点のSupply Chain Radarでは、NAND全体の供給が十分ではない中、メーカーがEnterprise SSD向けへ供給を再配分しており、eSSDのリードタイムは16週水準とされています。
9月23日のNAND Flash市場更新では、AGI・Agent AI用途を背景とする北米クラウド事業者の追加発注により、高性能Enterprise SSDで構造的な供給不足が発生しているとされています。供給側は高採算のEnterprise SSDへ能力を優先しており、短期的な増産余地が限られる中、NANDメーカーの価格交渉力が強まり、契約価格には上昇圧力が続いています。一方で、クライアントPC、スマートフォン、リテール向けの需要は強くなく、スポット市場も一様な不足ではありません。つまり、現在のNAND市場は「全製品が同じように不足」しているのではなく、AI・データセンター向け高容量品を中心に需給が大きく二極化しています。
供給側でもAI向け製品への重点配分は明確です。Samsung ElectronicsはPCIe 6.0対応のEnterprise SSD「PM1763」の量産を開始し、AI・HPCサーバー向けを主要用途としています。Micronは245TBの「6600 ION」データセンターSSDを出荷しており、AI・クラウド・ハイパースケール用途を対象としています。キオクシアもAI推論市場を成長分野と位置付け、Enterprise SSDや大容量QLC製品への投資を拡大し、複数年の長期販売契約を進める方針を公表しています。
一方、これらの発表だけから、日本国内で特定SSDやNAND型番が一律に不足している、または価格が必ず上昇すると断定することはできません。製品世代、容量、フォームファクター、TLC/QLC、顧客認定状況によって供給条件は異なります。
9月27日追記:TrendForceは9月21日、米国の主要クラウドサービス事業者が直近2週間でEnterprise SSDの需要見通しを引き上げ、2026年第4四半期のeSSD総発注量が第3四半期の高水準を上回る可能性があると報告しています。需要増は高性能TLCだけでなく、大容量・コスト効率を重視するQLCにも広がっています。さらに9月24日の「4Q26 Memory Price Forecast」では、Agentic AIのKV Cache用途を背景にハイパースケーラーがQLC Enterprise SSDの調達を積み増し、2026年第4四半期のEnterprise SSD契約価格は前四半期比23〜28%上昇、NAND Flash全体は15〜20%上昇するとの見通しが示されました。価格上昇幅は市場予測であり、個別メーカーの全製品一律の価格改定ではありません。また、9月25日の市場報道ではCiti Researchの9月21日付見通しとして、2027年のEnterprise SSD需要が前年比52.9%増加し、NANDの需給ギャップが2026年の-0.8%から2027年に-6.1%へ拡大するとの予測が紹介されています。これらはいずれも市場予測であり、メーカーの確定供給計画や日本国内の個別型番の納期を示すものではありません。
調達への影響
確認できる影響:AIデータセンター向けの高容量SSD需要が強く、NANDメーカーがEnterprise SSDへ製品ミックスを寄せています。その結果、サーバー向けSSDでは納期確保そのものが価格と同等に重要になっています。
今後の見通し:Enterprise SSDへの供給優先が続く場合、クライアントSSD、組み込み用途、産業機器向けNANDなどでも、一部容量・世代で供給余力が縮小する可能性があります。ただし、現時点で全NAND製品の長納期化を示す一次情報は確認していません。
特に大容量品、特定フォームファクター、単一メーカー指定品では、設計変更や認定に時間がかかるため、供給が逼迫してから代替品を探すと量産計画へ影響する可能性があります。
購買担当者が取るべき対応
- BOMからEnterprise SSD、NAND Flash、eMMC、UFSなどの主要MPNを抽出し、今後3〜6か月の必要数量を確認する。
- 仕入先へ「回答納期」だけでなく、確保済み数量、メーカー受注状況、キャンセル条件、価格有効期限を確認する。
- 大容量eSSDやサーバー用途では、容量、PCIe世代、フォームファクター、DWPD、TLC/QLC、セキュリティ仕様まで含めて代替可否を整理する。
- 海外在庫を使用する場合は、製造ロット、トレーサビリティ、保管状態、保証条件、真贋確認の可否を確認する。
- DRAM・HBMと同時に使用するAI/サーバー案件では、メモリだけでなくSSD・NANDも同じ調達計画で管理する。
AI Componentsからの実務コメント
今回の重要点は「SSDがすべて不足している」ということではなく、AI向けストレージ需要の拡大により、NANDメーカーの供給優先順位が変化していることです。市場調査上の16週というリードタイムは警戒すべき水準ですが、購買判断は必ず完全型番と必要数量を基準に行うべきです。
特に量産継続に不可欠なEnterprise SSDやNANDで単一ソースになっている案件は、価格が上がってからではなく、供給割当や長納期化が顕在化する前にセカンドソース評価と海外調達ルートを確認する方が実務上有効です。DRAM・HBMの供給動向については、当社のDRAM・HBM供給逼迫の記事もあわせてご確認ください。
Enterprise SSD・NANDの調達相談
Enterprise SSD、NAND Flash、eMMC、UFSなどの調達で納期・価格・代替品の確認が必要な場合は、AI Componentsまでお問い合わせください。
メーカー名・完全型番(MPN)・必要数量・希望納期・ターゲット価格・代替可否をお知らせいただければ、国内外の調達候補、海外在庫、代替可能性、トレーサビリティ条件を案件単位で確認します。在庫・価格・納期については、実際の問い合わせ時点で確認できた情報のみをご案内します。
このメーカー・型番の調達でお困りですか?
EOL、生産終了、長納期、入手困難品、海外調達、代替品調査まで。型番・数量・希望納期をお知らせください。
